マキノ ミユキ   
  牧野 美幸
   所属   淑徳大学  看護栄養学部 看護学科
    淑徳大学大学院  看護学研究科 看護学専攻
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 1999/02
形態種別 著書
標題 看護のこころ患者のここ ろ-看護職を目ざす人のための心理学
執筆形態 共著
出版社・発行元 福村出版
著者・共著者 編者:志賀令明, 岩崎祥一
分担執筆:賀令明,石井範子,高梨一彦,福島治,森和彦,佐竹真次,朝倉次男,真覚 健,岡野高明,他12名,牧野美幸
概要 看護学生の看護に対するイメージの変化や、人間の発達の段階ごとに起こりやすい疾患や心理学的問題などを解説し、看護者-患者の相互的な関係性のなかに存在する、自己と他者を再発見するための基礎を学ぶ。
B5版 全237頁
本人担当部分:「訪問看護でのターミナルケア」
 ある患者が自宅で亡くなったとき、わたしは家族全員とともに患者の清拭をおこなうことができた。そこでは家族一人一人が亡くなった方の身体に触れ、患者を送ることに参加していた。死は既に受け入れられ、同時に患者も安息の中にあるようにみえた。他方、びょういんで患者が亡くなった場合、このようなことは比較的まれである。患者が病院で死を迎える際にそれ以前に付き合っている家族は特定の人(妻・夫・嫁など)であることが多く、たとえ臨終の場面にその他の家族成員が立ち会ったとしても、その人たちには何か気後れのようなものがあり、結果的に「死者」としての距離感を持ってしまうことが多い。そこでは在宅で亡くなる患者のように家族全員でその患者の死を分かち合うというよりは、「死という非日常」が到来した、という感覚の方が優勢になりがちである。しかし、在宅にせよ、病院にせよ、末期の患者に死は間違いなく訪れるものである。ターミナル期にある患者の看護に限られたことではないかもしれないのだが、最期を看取るという状況において、患者にも家族にも、そして医療従事者にも、ターミナルケアのプロセスを通して、結果的に「癒し」がもたらされることが望ましいと考える。(p222-p223)