教員情報 |
ツネミ コウヘイ
TSUNEMI KOHEI 常深 浩平 所属 淑徳大学 人文学部 人間科学科 職種 准教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2011 |
形態種別 | 学術論文 |
査読 | 査読あり |
標題 | 物語理解過程における知覚的処理 -自伝的記憶に基づく検討- |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 学位論文(博士) |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 京都大学 |
概要 | 一体,物語とは何なのだろうか。この大きな問題を考える端緒として,本論文では,私たち人間がどのようにして物語文章を理解しているのかという問題を考える。まず,物語文章読解時の心的表象構築過程に注目し,この心的表象が知覚的な表象か否か,という問題を挙げる。次に文章を含む言語処理に伴う知覚的処理の先行研究をまとめ,現状の課題として第一に単語・単文の研究に比べ文章の研究が少ないこと,第二に知覚的処理と読者が記憶として持つ知覚的情報の関連について検討が少ないことを指摘する。以上の問題を検討するために,読者が持つ知覚的情報が物語長文読解過程に与える影響について実験法と質問紙法を用いて検討を行う。これらの研究から,物語長文読解に伴う知覚的処理に,読者自身の個人的な知覚的経験の記憶,すなわち自伝的記憶が関わることを示す。さらに上記の知見をもとに,自伝的記憶の関与を考慮した新たな物語長文読解モデルを提案する。この自伝的記憶の関与こそ,物語世界の疑似体験を支える基礎過程であり,物語を通して読者の自己が影響を受け,様々な感情を抱き,また虚構である物語と現実がつながるための基礎となる認知過程であると考えられる。 |