ヤマニシ テツヤ   YAMANISHI TETUYA
  山西 哲也
   所属   淑徳大学  総合福祉学部 教育福祉学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2008/03
形態種別 学術論文
標題 体育科教員の校務分掌への関わり-生徒指導部に着目して-
執筆形態 単著
掲載誌名 「教育学研究紀要」
出版社・発行元 中国四国教育学会
巻・号・頁 第53巻(第1号),405~410頁
概要 一般にいわれている教員の役割は、教科指導と生徒の人間形成であるが,体育科教員は保健体育科の指導に力を入れられる条件が整わず、規則の厳守や人間性の向上の指導に力を割かれてきたことが多いと考えられる。こうした現状は少なくとも教員としての仕事を果たす上で「正常」な状況ではないのは明らかである。この問題を解く上では、まず、日常に「感じられて」いながら「書かれて」こなかった、体育科教員に現実に課せられている様々な役割、現実に置かれている状況を実証的に明らかにする必要がある。そこで,本稿は今,ここにいる体育科教員の実態、想い、問題を解明することで,質問紙法アンケート調査では見えてこない,学校にいる一人ひとりの教員像が見えてくる。それに依って体育科教員が学校で果たしている役割,それはおそらく生徒指導を中心とする役割であり,併せてそれを果たしている構造が明らかにすることを目的とする。分析結果から多くの体育科教員は、学校での規則・マナーを守らせ、挨拶ができるとする道徳性、社会・公民性の指導に力を入れている。また、ある教員についてはそれらができることで学業指導も可能になると指摘している。指導には対処療法的な指導と啓蒙指導の二指導が重要であるとしながらも対処療法的な指導をおこなっている傾向がある。
 そして体育科教員の必要性は、生徒を力で押させ付けるだけでなく、厳しく指導することが出来るからである。そのことにより学校組織(管理職、体育科教員以外の教員)から無言の要請があり、体育科教員が生徒指導部を主に担うようになってきた。結果、体育科教員以外の教員・生徒は体育科教員が生徒指導部を主に担うのが当たり前であると感じるようになり、体育科教員もまた、生徒指導部を担うことが当たり前であると感じるようになってきたことで、体育科教員は「生徒指導のエキスパート」として育成され、号令係や番犬及び用心棒として認識されているのが明確と成った。